図面を送る前に5軸加工の能力を確認する
工場が宣伝している内容と実際に行っている加工との差は、5軸加工ではほかのほとんどの工程よりも大きくなります。多くの場合、これは不誠実さによるものではありません。「5軸」は宣伝文句になっており、部品を一定の角度に割り出せる機械も、技術的には5軸機だからです。
どちらを発注しているのかを知っておく必要があります。2つはコストが異なり、向いている部品も異なるからです。
実際に何が違うのか
同時5軸加工では、工具が切削している間に5軸すべてが動くため、形状が変化する面に対して工具を法線方向に保つことができます。インペラ、R形状のつなぎ、自由曲面にはこれが必要です。
3+2割出し加工では、部品を一定の角度まで回転させて固定し、3軸で切削します。その後、次の角度まで回転させます。5軸のメリットの大半は、これだけで得られます。段取りが4回から1回になり、面同士の位置関係はクランプのやり直しではなく機械によって決まります。
3つの傾斜面にポートがあるハウジングであれば、通常は3+2が適切で、しかも安価な選択です。
4つの質問
- 機械のメーカーと型式。 そのうえでご自身で調べてください。これが唯一確認できる答えです。
- どのCAMを使い、誰が操作しているか。 同時加工には完全なキネマティクスと干渉チェックが必要です。機械はあっても5軸のプログラマーがいない工場から届くのは、割出し加工です。
- 主軸を傾けた状態でのワークの加工範囲。 テーブルサイズから想像するより小さく、場合によってはかなり小さくなります。テーブルではなく、加工範囲を尋ねてください。
- 自社で測定するものと外注するもの。 すべての測定を外に出している工場は、部品と部品の間で自ら補正することができません。
1つの書類
類似部品の実際の検査成績書を、顧客情報を伏せたうえで見せてもらってください。ひな形でも、証明書でもありません。成績書を見れば、実際に何を、どの機器で、どの程度の公差で測定することに慣れているのかが分かります。
提出できない工場は、これまで求められたことがないか、保管していないかのどちらかです。どちらであっても、判断材料になります。
見積依頼に書くべきこと
想定している加工方法を明記するか、分からないので助言がほしいとはっきり書いてください。部品に必要がないのに「5軸同時加工」と指定された工場は、そのとおりに見積を出し、お客様はその分を支払うことになります。
図面をお送りください。部品に実際に必要な加工方法をお伝えします。5軸加工がまったく不要だという答えになる場合も同様です。
よくあるご質問
3+2割出し加工は同時5軸加工より劣るのですか?
いいえ。別の加工方法で、コストも異なります。複数の平面に形状がある部品であれば、プログラミングが単純で立ち上げも早いため、3+2のほうが同じ公差をより低いコストで満たせることがほとんどです。劣るのは、形状が変化する面に対して工具を法線方向に保ち続ける必要がある自由曲面の場合だけです。
両者を見分けるための質問を1つだけ挙げるとしたら?
機械のメーカーと型式を尋ね、ご自身で調べてください。型式は確認できます。「5軸加工に対応しています」という一文は確認できず、割出しにしか使わない回転テーブルを載せた3軸機であっても同じことが言えてしまいます。
CAMシステムも確認すべきですか?
はい。設備リストよりも多くのことが分かります。本当の同時加工には、機械の完全なキネマティクスと干渉チェックを備えたCAMと、それを日常的に使っているプログラマーが必要です。機械はあっても5軸のツールパスを出力できる人がいない工場は、主軸の性能にかかわらず割出し加工で見積を出してきます。